【Let's talk about the Tower Mansion in Tokyo Bay‐area】東京湾岸のタワーマンション事情について

【東京湾岸のタワーマンション事情について】 - Let's talk about the Tower Mansion in Tokyo Bay‐area -
ここ20年間ほどで、東京湾岸のタワーマンション(通称タワマン)の新築ラッシュが一層進みました。2019年初頭の現在でも未だ建設中のものが多数続いています。来年2020年にはこの辺りが東京オリンピック・イベント会場の中心地となることもあり、今しばらくはタワマン・ブームは高水準で続くと思います。
今から、多少の経験談を交えてタワマンに住んで良かったことや気になる点など皆さんに役立つ耳寄り情報をお話しします。まずはじめに、一口にタワマンと言っても読者にピンとこない部分があるかもしれませんので、冒頭でわかりやすく定義してみました。一部筆者の独断と偏見を含みますので、微妙な部分はのちほど自分で調べるなりして判断してください。なお、私は、以前住んでいた港区(これは賃貸でした)と現在居住する江東区の2棟通算でこの道20余年のタワマン居住キャリアを持っています。
◇タワーマンションとは;
おおむね30階建て(高さ90mくらい)以上の外観が塔形状のマンションを示します。
*通説では、《高さ60m以上、階数でおよそ20階建て以上》との記載もあります。
◇東京湾岸タワーマンションの対象エリアとは;
品川区、港区、中央区、江東区それぞれの東京湾岸、または東京湾が一望できる湾岸隣接地域や墨田川河口沿いに建っています。
◇タワーマンションの工法は;
RC構造の制震工法や免震工法があるようですが、高さに合わせた建築基準法に基づき、構造の強度や設備の安全性が担保されているのが普通です。そもそもどこも、元をたどれば東京湾の埋め立地の上に建設されたマンションですが、大手不動産会社監修のもと大手ゼネコンにより厳重に建築されていますので、好みはあってもどれも遜色のない安心で頑丈な建物だと思われます。
◇タワーマンションその他;
タワマンには、さまざまな共有施設があります。およそ1階ロビーは、どこもシティホテルと見間違えるほどのエントランスが施されているのが普通です。エントランスのフロントには管理人が常駐しているものが多く、監視カメラなども充実しているため不審者が混入するリスクは格段に低いと言えます。応接セットなどがいくつも設置されており、自室に直接招き入れることを多少躊躇する客人などはここでの応対も可能です。宅配ボックスなども当たり前に設置されています。また、ラウンジ、ゲストルーム、フィットネスルーム、キッズルームやゴルフシミュレーションルームなどがあります。加えて、マンションによっては、室内プールがあったり、温泉付きであったり、ドッグランがあったり、さらにはコンビニエンス・ストアが併設されていたりさまざまな嗜好が施されています。
それでは、以下、良し悪しについて具体的に語ってみましょう。
まず、「立地」から。
1.立地の良し悪し;
湾岸タワマンに限らず、毎日生活する居住スペースですから、決め手の第一はやはり立地条件ですね。ズバリ最寄りの駅まで徒歩何分?と言ったところが肝になりますが、まぁ10分以内が無難でしょうね。中には駅改札まで2~3分、しかも駅地下街を利用できるため雨に濡れないモノがあったり、徒歩20分だが専用の定期バスありなんてのがあるようです。小さな子供さんがいれば、駅にいたる交通の危険性の有無も重要な要素になります。遊歩道があればよりいいですよね。また、路線がメジャーかそうでないかといった判断や1路線だけなのか2路線以上が利用可なのかといった見方もあります。
メジャーな路線は、やはりJRや営団地下鉄が利用可能なエリアです。例えば、品川、渋谷や新宿駅、はたまた新橋、銀座、有楽町、日本橋や東京駅に容易に足を運びやすい駅であれば申し分はないでしょう。あくまでも個人的意見ですが、東京臨海線(ゆりかもめ)や大江戸線は思ったよりも不便さを感じることが多いので、事前によく見極めましょう。
わたしの住居は有楽町線とりんかい線の2駅が利用可能です。品川や渋谷、有楽町や東京駅に気安くアクセスできるため大変便利です。
次に、地域の「環境や利便性」を見てみます。
2.地域の環境と利便性
住人の世代や家族構成にもよりますが、何と言っても幼稚園(託児所)や小・中学校、病院、スーパーマーケットなど生活空間の存在が大事です。各々おおむね徒歩10分圏内であれば、何かと無難だと言えるのではないでしょうか。その他、大規模な公園(避難所)だとか図書館、コミュニティーセンターなども至近距離にあれば申し分ありません。加えて、街づくりのコンセプトに調和感があるかどうかも重要なポイントだと思います。バラバラだと落ち着きのない街に成りがちですから。私が知る限りでは、中央区のリバーシティやららぽーと豊洲周辺はこの点味があって好きですね。
ちなみに私の街は、上記の施設が各々おおむね3~5分内にありますので、利便性の観点から言えば大いに重宝しています。
いよいよ、内面部分にあたる「方角」です。
3.方角(日照)・温度
部屋の方角を話す前に、建物の方角(向き)を見ておきます。およそタワマンは、やや角ばった塔形状のものが多いと思います。勿論丸みを帯びたものや六角形に似たもの、アメーバー型のものなどもたまに見かけますが、基本は正方形です。正方形の場合、普通は各面がそれぞれ東西南北を示していると思いがちですが、それだと北面が死角となり使えなくなります。部屋の効率を上げるため、精巧にずらす工法を施すのが通例のようです。各々が東北、東南、西南、西北を向くように微妙に調整し、少しでも真北の部屋数を削減する工夫をします。売り側も商売ですから致し方ありません。コンパスどおりの東西南北を指し示すタワマンはほぼないですから、ここはイメージを大きく膨らませて好みの無難な方角を選定してください。
また、当然各部屋は、建物の向きに同調します。たとえば、東南向きの建設であれば南面の部屋はちょっと東を向いています。あたり前の話ですね。この部屋は、東南の角地の次に日照時間が長くなりますし、こと冬場の日照であればここが1番長くなることもあります。また、冬場は全体的に日差しが低くなりますので、万一南側に高層建物がある場合は日差しが遮られることがありますので要注意です。
室内温度も向きによって相当変わります。湾岸エリアは思いの外海風が強く、しかも風が舞います。特に東北の角と西北の角部屋は、冬場の寒さ対策を万全に整えることが重要です。
以前住んでいた港区のタワマンは東北の角部屋でした。年がら年中昼から各部屋に電気が灯り、窓を閉め切った冬場の暖房代は隣人の1.5倍かかりました。現在はラッキーなことにほぼ真南向きに居住しているため、朝から夕方まで太陽の光をポカポカ浴びて快適に暮らしています。
大変重要な間取りの話です。
4.間取り
タワマンの立地や環境も大事ですが、やはり家族と過ごす居住空間は最も大切な要素ではないかと思います。最近のタワマンはどこも工夫を凝らしていますから滅多にないと思いますが、まず、間口が狭くウナギの寝床のような間取りがあれば極力避けた方が良いでしょう。奥の部屋は湿気が溜まり、日中から電気を必要とするからです。このような部屋は通路側に内窓を設けることが多いため、タワマン自体の美観を損ねると同時に防犯上もあまり好ましくありません。さらに要注意なのが、東南の角部屋や西南の角部屋など「角」と称して、実は南面がほとんど活かされない間取りがあることです。口頭での説明がちょっとむずかしいのですが、簡潔に言うと東面間口がやけに長い東南の角部屋や西面がそれの西南の角部屋のことです。一見南面をかすめているため価格的にはむしろ高くつくのですが、どう見ても「東向き、あるいは西向きにしか見えない」構造です。
まぁこれも好みの問題といえばそうですが、わたしはちょっと好きになれませんでした。南間口が広いほど良く、そうでなければせめて長さは1対1くらいはあって欲しいと思います。ワンルームマンションであれば話は別ですが、部屋数全体の快適なイメージを事前にもっと膨らませた方がいい事例だと思います。
一部屋ごとの間取りや形も重要です。よく三角形(もしくは台形)のリビングや3~4畳ほどの狭小な子供部屋を見かけますが、ちょっと使いづらくはないかと心配することがあります
また、快適性の観点から、天井高も重要な判断となります。タワマンは比較的新しいものが多いのでさすがに2.1mはないでしょうが、高いに越したことが良いのは言うまでもありません。
私の住居は全面がほぼ南向き、間口は約11m、4部屋が面しています。リビングの天井高は最高2.7mほどあるため、いたって開放感があります。残念ながら角部屋ではありませんので若干単調な感じは否めませんが、全部屋が明るい間取りなので満足しています。また、冬場は、房総半島沖 の旭日から丹沢大山国定公園に沈む夕日までをきっちりと拝むことが出来ます。
唯一の不満は、南側東京湾から吹き抜ける強風が北側玄関を押しつぶすため、外出の際にたまにドアがどっと開いたり、反対に北風により開かなくなったりすることだけです。
タワマン真骨頂の眺望について語ります。
5.階数と眺望
当たり前の話ですが、一般的に階数が高ければ高い程部屋からの眺めは絶景となります。10階と40階ではおよそ100mほどの高低差があります。見えないものが見えるだけではなく、同じく見えるものであってもそもそも見る角度が違いますから、開放感と言うか景観に対するある種の征服感のようなものを一度は満喫できるでしょう。東京湾岸から臨む風物詩と言えば、大方、東方にディズニーランドや房総半島、南方は東京湾や羽田空港、西方に富士山やレインボーブリッジ、北方には東京タワーやスカイツリーなどでしょう。
品川区の天王洲アイル近辺や港区の芝浦や港南、中央区の勝どきや佃、江東区の豊洲や有明などの立地条件により見える角度はそれぞれ異なりますが、被写体自体は同じですから、眺望の観点から言えば立地はあまり重要なファクターにはならないと思います。むしろそのタワマンの部屋の向きで決まります。例えば有明立地の東南向きはレインボーブリッジが見えませんが、東品川からは目と鼻の先でしょう。豊洲地区の西向き部屋からは夕日が沈む富士山がくっきりと望めるでしょうが、東向きだとディズニーランドの花火しか見えません。皆さんは、はたしてどの光景を得たいですか?
また、転居時にハッと感動した光景も、その後の建設ラッシュにより数年経てば新築マンションの陰に隠れて見えなくなることが多々あります。特に湾岸地域は未だ倉庫、運送会社や軽工場が多い地域なので、思いも寄らず隣接建物が取り壊されて突然新築が建つ羽目にならいよう事前に周辺を調べて見てください。あらかじめ予想の上転居するのと後から青天の霹靂を食らうのとでは、モチベーションや愛着が相当変わるはずです。また、実際近隣に高層建物が建てばわかるのですが、自分が10階に住んでいようが30階に住んでいようが結果は同じ羽目に陥ります。高層タワマンは普通30数階だとか40階の高さを誇ります。従って50階程度の高部屋に住んでいない限り、いつかは遮られる覚悟が必要だろうと思います。
私の経験からすれば、居住後の10余年間で有明のビッグサイトとレインボーブリッジの一部、東京湾大花火(今はもうありません)の景観を失いました。しかしながら幸いなことに、南側前面は「公」と公共性の高い法人所有の土地であるため、今しばらくは高層の遮蔽物が建つ可能性は低く、枕を高くして寝ることができます。まぁこれとて永遠ではないでしょうけれども。
6.まとめ
以上、私の経験談も交えながら、東京湾岸タワマン居住空間なるものについて語ってきました。最後に、これからこの空間を求める皆さんにささやかな喝を促すため、その特性や留意点を簡潔にまとめて終わります。自分自身の反省も込めています。一部既述記載と重複する箇所もありますが、不要な部分は読み飛ばしてください。
1)最寄り駅まで10分圏内。駅はメジャーな方が良い。1駅利用化よりも2駅以上可が
ベター!
2)東京駅、羽田空港、成田空港、他、自分が必要とする目安との時間・距離を確認
せよ!
3)学校、病院、ショッピングセンター、公園があるのは当たり前。こだわるのは
そこまでの時間と距離!せいぜい徒歩 10分内。
4)敷地スペースが広い(土地の持ち分所有が大きい)タワマンを選べ!
5)部屋数全体を見て、死角の少ない間取りを選ぶ!
6)東南の角地、南西の角地のうたい文句はまず疑ってかかれ!南面がどれだけ取れる
かが鍵。
7)東北の角と西北の角部屋の冬は、風が強く寒い!
8)北面中心の部屋は価格が安いため、使用目的によってはお買い得。但し、転売の際は
苦労する!
9)天井高が高い部屋を選べ!目安2.5m以上。
10)隣壁から音(壁を叩く音は除く)や声が聞こえたら即アウト!天井音にも繊細な
気配りをする![遮音設計は大前提]
11)バルコニー壁は透明ガラス仕様が望ましい!部屋が明るく、室内からの眺望が
鮮明。
12)内廊下なのか外廊下なのかをあらかじめ見極めておくこと!
(*一般的に内廊下の方が高級感はあるが、管理コストは高い)
13)高層階ほど地震などによるエレベーター停止の際は不便になる。復旧までに丸1日
の階段上りは覚悟せよ!
14)管理費は一生のお荷物。リーズナブルであるか否かを事前に確認すること!
15)駐車場数と料金も安易に考えるな!戸数の6割程度は必要。
16)眺望を最優先するのであれば、せめて40階以上を選ぶこと!
40階未満は、将来近隣に遮蔽建物ができる可能性がある。
(*15階以上35階未満は、優越感さえ我慢すればさほど変わらない)
17)眺望は一瞬の娯楽、日照は一生の宝!
いかがでしたか。ちょっとは参考になりましたでしょうか?